病院で治療しても治らない肘の痛み、気持ちはあせるばかり。
子どもでも大人でも、野球の練習を一生懸命続けるのは、大事な試合で悔いなく活躍するため。
試合が近づくと、周りのメンバーは試合に合わせてどんどんギアを上げてきます。
その中でピッチャーの自分は肘が痛くて全力投球できない。
病院で治療を受けているのに治りきらない・・・いったいどうしたらいい?
今回のブログでは、年齢にかかわらず発症してしまう野球肘について、原因やスポーツ鍼灸での治療、そして予防法までお伝えしたいと思います。
参考にしていただけると幸いです。
野球肘は無理をすると誰でもなってしまいます。そう、大人でも。
野球肘といえば、子供を筆頭になんとなく若い人がなるイメージがありませんか?
例えば次のようなケース。
<ケース1>14才男子中学生の場合
リトルリーグの頃から続けている野球。
ポジションはずっとピッチャー。
大事な試合が近づいてきた今になって、なんと肘が痛くなってきた。
最初はしばらく投球を控えると治まっていたのに、最近だんだん引かなくなってきた痛み。
もちろん病院に通って治療を受けてはいるのだが、痛みが完全に消えてくれない・・・。
周りから見ても痛みがわかりづらいだけに、本人にとってつらいケースです。
では次の大人の方はどうでしょう?
<ケース2>40才男性の場合
野球に打ち込んできた学生時代。
ポジションはピッチャー。
大人になってから運動する機会がなかったが、少し前、昔の仲間に誘われて草野球の練習に参加。
ほぼ毎週、土日のどちらかに試合を行うペース。
「やっぱり野球は楽しいなぁ」と喜んで投げるようになったが、定期的に投げるうちに「あれ、何だか肘が痛いような・・・」と気づいた。
最近は投げている途中や登板後、肘の痛みに悩まされるようになってきた。
もちろん病院に行って治療してもらっているが、保険の治療では電気を当てたり痛み止めの処方のみ。
全く治る気がしない。
これからも野球は長く続けたいのになんとかならないだろうか。
・・・とおっしゃるこの方の病名も「野球肘」。
実は野球肘ってひとつの病名を指すのではなく、「野球の投球動作によって肘に生じた痛みや運動障害全般」を指す総称なんです。
野球肘という大きなくくりの中に、よく知られる「リトルリーガー肘」などが入るそう。
野球肘、代表的な症状とは?
野球肘は、度重なる投球動作によって骨や軟骨、靭帯や腱の付着部が傷つき起こる病気。
痛む部位によって「内側型」「外側型」に分類されますが、圧倒的に内側型が多いそうです。
内側型
肘の内側の圧痛、腫れ、投球時の肘痛や可動域の制限が見られる。
小指側のしびれが出ることもある。
外側型
肘の外側の痛みに加え、肘がロックされたように一瞬動かなくなることがある。
そしてそれぞれの症状は、軽度から重度まで3段階に分けられています。
- 軽度:患部の圧痛や腫れは軽く、投球時に痛みは走るもののX線検査では骨などの変化はみられない。
- 中度:患部の圧痛や腫れが増大し、投球時の痛みとともにX線検査でも異常が認められる。
- 重度:患部の腫れがさらに増大、圧痛がひどく運動制限が見られるので日常生活に支障が出るレベル。
重度になると、症状によっては、「関節ねずみ」と呼ばれるはがれてしまった軟骨を取り出す手術や、靭帯や腱を移植する手術が行われることがあります。
野球肘の原因は投げすぎだけ?
<ケース1>の14才中学生のようなリトルリーグ出身のピッチャーがなる野球肘の原因は、ほとんどが「投げすぎ=オーバーユース」だといわれています。
少年野球の投手の20%以上に、何かしらの野球肘の症状がみられるという報告もあるそう。
成長途中の選手がなる野球肘は、投げすぎによって、まだ成熟途中の肘の内側にある小さい骨が靭帯に引っ張られ、軟骨の部分ではがれかけ炎症を起こした状態。
膝で言う「オスグッド」と同じようなメカニズムで起こります。
治療としては投球を休むことが最優先。
約3~4週間で痛みが消えれば、少しずつ練習を再開させても問題はないといわれています。
もちろん投球動作を休止している間は、下半身や体幹の機能を衰えさせないよう走り込みなど投球動作以外のメニューは消化してもらいます。
投球動作を再開後は「投げすぎ」に注意し、骨の変形を起こすような重症にさせないことが肝心です。
次に<ケース2>のような大人の方の場合はどうでしょう?
こちらは少々様子が違ってきます。
大人になって運動する習慣がなくなっていたところに飛び込んできた野球の誘い。
久しぶりに仲間と過ごす休日は、何ものにも代えがたい至福のひとときでしょう。
ところが体は正直なもの。
急な運動や投球動作によって体中の関節の動きが追い付かず、弱いところに炎症が発生、痛みへとつながったと考えられます。
つまり大人の野球肘の原因は、投げすぎというよりも「投げる前後に行うケアの圧倒的な不足」。
当院に「野球を久しぶりに始めたら肘が痛い」と言って来られる患者さんは、肘だけでなく、全身の筋肉が疲労でガチガチに硬くなっている方がほとんどです。
「野球肘」は再発するの?
野球肘は、今までお伝えしてきたように、投球動作で継続的にかかる負担によって発生する肘の痛み。
つまり適切なケアをしながら、しばらく肘を安静にしておくことで、ほぼ痛みは消失します。
ところが問題は「OFF明け」に。
「やった~、やっと治った!」とばかりに、以前と同じような頻度や内容の練習をいきなり再開させてしまうと、しばらくして「あれ、治ったはずの肘が痛い」ということになりがちだとか。
そう、野球肘って何回も再発するんです。
怖いことに、成長途中の若い人は野球肘が治りきらないと、結果的に骨や腱自体が変形してしまい、後年ポジション変更や手術を余儀なくされることも。
一度でも野球肘を経験した方は、年齢を問わず「自分は野球肘になりやすい」と自覚して周りの方とも相談、練習方法や投球フォームを見直す必要があるかもしれません。
「野球肘」と「スポーツ鍼灸」その即効性とは?
当院の院長はいつも「スポーツ障害の治療は短期決戦、一回の治療で顕著な効果を出すことが大切」だと言っています。
なぜなら、多くのケース、大会直前にわらをもすがる思いで駆け込んでこられるので、一回一回の治療が短期決戦真剣勝負です。
そして不安のない状態で試合に送り出し、次の試合までの休養期間に必要なケアのアドバイスまで含めてがスポーツ障害の治療だと。
肘に限らずどの部位についても言えることは、「スポーツ障害で来られた患者さんは、痛めた部分だけでなく体全体の筋肉がガチガチに硬くなっている」ということ。
なぜなら、負傷部位を意識的、あるいは無意識のうちにかばうために障害部位以外の体に負担がかかり、投球フォームまで崩しかねません。
すると例えば腰や股関節など今まで痛みを感じたことのない部位にまで負荷がかかり痛みを覚えるようになることも珍しくありません。
これを負のスパイラルと言います。
なので野球肘といえども肘だけにアプローチすればいいわけではなく、スポーツにより負担がかかっていると思われる関連部位をもれなく修正する必要があります。
例えば、首肩肘の一連の連係動作に問題がないか。
ひじ痛のため投球動作に変化が生じ股関節や膝関節に負担が生じていないかなどです。
病院では保険診療という制限があるためどうしても局部に対する治療しか望めません。
そのため残念ながら回復までにとても時間がかかってしまいます。
また運よく痛み止めの薬がばっちり功を奏した場合、ケガが治ったわけではなく、文字通り痛みを止めているだけですので、痛みをマヒさせた状態でタフな練習を繰り返していると、取り返しのつかない大事に至る可能性もあります。
院長の治療方針は大会までの残された時間を視野に入れ、一回ごとの改善目標を患者さんと共有し、次回の来院までに患者さんにやっていただくリハビリメニューを作成します。
治療内容とリハビリメニューを2者で共有させることにより回復達成が俄然早くなります。
実際の治療はどんな感じ?
どの姿勢を取った時に痛むのか、どのように痛いのか、肘だけでなく他に気になる症状はないかなど、あらかじめ書いていただいた問診表に沿って丁寧に問診。
全身の筋肉の硬さと肘の痛みをとる鍼治療を行った後は、その方に特化したトレーニングや自宅で出来るセルフケアの方法をお伝えしていきます。
スポーツ鍼灸とは「スポーツ障害の治療やケガの予防、コンディションを整えるために行われる鍼治療」のこと。
電気や湿布、マッサージなどを定められた部位にしか治療できない一般的な保険治療とは根本的に違うのです。
野球肘の予防には何が大切?
「治療→良くなった」だけではなく、その後痛みをぶり返さないためのアドバイスに力を入れる当院の院長。
例えば運動後のアフターケアについて。
年齢に関わらず、運動後のケアはとても大切なんです。
特に、関節や筋肉の痛みがひどくなる前に起こる「筋肉の張り」
「筋肉痛になってしまった」と軽く考えず、腫れやしこりになってしまう前にセルフケアを行うことは、野球肘の予防に大変有効。
痛みなく練習が出来るようになると、ベースとなる筋力や柔軟性も知らず知らず増加していきます。
するとパフォーマンスが右肩上がりに。
当院の院長は、「セルフケアをかねて、平素はスポーツ整形や整骨院で定期的な通院はしておいたほうがいい。」といいます。
保険治療を受けていても症状が長引いたり、痛み止めの薬が手放せなくなってきたときには、迷わず統園鍼灸院に相談してくださいね。
統園鍼灸院は、地域のアスリートの皆さんを心より応援しています。