「手根管症候群」で「手術」と言われたら?手術を決めるのは自分で納得してから
夜中、手のしびれと痛みで目が覚めるのは何とも不快なもの。
それが毎日続くのなら「手根管症候群」かもしれません。
「私の手の中で何が起こってるん?」
ガマンの限界で向かった病院で「この状態だと手術した方が早いかもね。」とサラッと言われてしまいました。
「手根管症候群」の「手術」そんなに簡単に受けてこの先大丈夫?
疑問に思ったのでスマホ片手に調べてみました。
皆さんの意思決定の参考になれば幸いです。
病院で「これは手術した方がいいですね」と言われたら
始まりは突然。
夜中に「あれ、手がしびれてるやん。」と目覚めたことから。
最初は「いやぁ、手を体の下にして寝てたな。」と思ったんです。
たまにありますよね。
深く眠っていて寝がえりを打たない時間帯に、たまたま下になっていたところが正座をした後みたいにビリビリしていてビックリすることが。
日中でもしびれることはありましたが、手を振ったら治まるし、手のマッサージをしたら軽くなるので、「そのうち治まるやろ」と様子をみていました。
でも毎日続くんです、夜中のビリビリが。
毎日となると、眠りが浅くなって疲れが取れない・・・。
さすがに「これはまずい気がする」と病院へ行くことにしました。
混み合う病院で頑張って待ち、診断された病名は「手根管症候群」。
「けんしょう炎はよく聞くけど、手根管症候群って何?」と思っていると、その後に先生がおっしゃった言葉に衝撃を受けることに。
「これは手術した方が、治りが早いかもね。」
えっ?
「病名もよくわかってないのに手術ですと?」
その場では「ちょっと考えさせてもらっていいですか?」と答えるのが精一杯でした。
「手根管症候群」で「手術」をすすめる病院での判断基準
いきなり「手術」と聞いてパニックになりかけましたが、じっくり調べてみると実はいきなり手術とはならないようです。
手術を得意にしている病院だと「手術の方が早いよ。」という提案があるかもしれませんが、実際は「保存療法」から始めることが一般的。
では手術以前の治療法はどんな感じ?
順番に紹介してみたいと思います。
保存療法
- 投薬・・・炎症を抑える鎮痛薬や神経代謝を改善するビタミンB12が処方される
- 固定・・・炎症がひどい場合は活動を制限し、炎症が治まるのを待つ
- 温熱治療・・・超音波やレーザー機器で患部を温めて血行を改善し、筋肉の緊張をゆるめる
あまり効果が感じられない場合は、次の段階へ進みます。
注射
炎症抑制効果のあるステロイド剤と麻酔薬を少量、手の関節に打つ。
効果の持続時間は長く期待できるが、強力な薬なので打てる上限は3回くらいまでと決められている
この注射は即効性があるので「1回注射したら、ビックリするくらいよくなったわ~」という話も聞きます。
しかし残念ながら数回注射をしても改善が見られない場合、次の段階の「手術」が検討されます。
手術
手術自体は以前と比べ簡単になったといわれるが、やはり治療としての最終手段。
最近は内視鏡の手術が多く行われている。
う~ん、やっぱり手術はサクッと受けるものではないようです。
どんな人がなりやすい?「手根管症候群」の原因と症状
ここまで「手根管症候群」についてお伝えしてきましたが、そもそも「手根管」はどこにあるのでしょう?
そして「手根管」がどのような状態になったら「手のしびれ」につながるのか調べました。
「手根管」は文字通り、手のひらの付け根部分にある骨と骨をつなぐ靭帯(じんたい)に囲まれたトンネル状の空間のこと。
「手根管」の中には指からつながる9本の腱(けん)と正中神経(せいちゅうしんけい)が通っています。
この「手根管」の中で、腱の周りの滑膜(かつまく)に炎症が起きて腫れ、正中神経が圧迫されると指に痛みやしびれが起こるのです。
原因としては「手のつかいすぎ」がよく言われていますが、患者さんには更年期や妊娠中の女性が比較的多いので、「ホルモンとの関連性」と指摘する見方もあるそうです。
症状としては、夜中や朝方にかけて感じる手のしびれや痛み。
ジンジンしたしびれが気になって眠れなくなる人も多いとか。
神経の圧迫による関節痛は、安静時にひどくなるという特徴があるそうです。
このしびれは中指から始まることが多く、時間の経過とともに広がっていきます。
不思議なことに症状が出る指は、親指・人差し指・中指の親指側まで。
これは正中神経の支配領域と一致しているそうです。
それでは小指と薬指がしびれていたら、別の病気なのでしょうか?
答えはYES。
この症状は「肘部管(肘部管)症候群」という肘(ひじ)の内側の神経が痛む病気なのだとか。
特徴は「肘を曲げると症状が強くなる」こと。
一口に「痛みやしびれがある」といっても、原因や症状は様々なんですね。
「手根管症候群の手術」は簡単ですぐ終わる?
先ほど治療の最終手段として紹介した「手根管症候群の手術」。
最近は「簡単ですぐ終わります。水仕事もすぐOK!」などと書かれているサイトも多くなってきました。
手術の目的は、「手根靭帯を切り離すことにより、圧迫された正中神経を解放し、痛みやしびれを取り除く」こと。
腫れた正中神経を何とかするのではなく、靭帯の方を切るのかとちょっと驚き・・・。
従来は、手のひらの皮膚を3~4センチ切開する「手根管開放術」が主流でした。
しかしこの方法では、手術後手を開くと傷跡に引っ張るような力がかかって痛みが出たり、ケロイド状になったりして患者さんを長期間に渡って悩ませることがあったそうです。
そこで最近では傷跡が小さい内視鏡による手術が多く行われるように。
内視鏡下手根管開放術とは?
手の関節部と手のひらをそれぞれ1センチ程度切開し、内視鏡を使って靭帯を切る手術。
手術時間は30分ほどなので日帰り可能。
術後の痛みが少なく、水仕事なども早い段階でできるので負担が少ない。
ただし「手根管症候群の再発による再手術」「内視鏡の使用が適さない症例」では従来の「手根管開放術」が採用されます。
ここで注意がひとつ。
内視鏡が一般的になりつつあるとはいえ、手術中の神経損傷など重い合併症の報告もあるので、「内視鏡下手根管開放術」を受けるときは、十分な経験を持つ医師がいる病院を探しましょう。
結局どうしたらいいの?納得して治療を続けるために
病院では保存療法から始め、痛みを和らげる注射を打ち回復を待ちますが、「どうしても症状が取れなくて毎日がつらいです」との訴えがあると、いよいよ患者本人と医師との間で「では手術をしましょう」と決定します。
しかし「手術」を医師から勧められても「手にメスを入れるなんて嫌やからこのままガマンする」という方も実際にいらっしゃるようです。
この判断、後々のことを考えるとちょっと賛成できないのが正直なところ。
なぜなら手術にも「受けるのに最適な時期」があるからだと知ってしまったから。
仮に時期を逃して放置し、「痛くて使えないから。」とかばっているうちに手はどうなっていく思いますか?
なんと親指の付け根の「母指球筋(母指球金)」という筋肉がどんどん委縮し、ボタンがかけられなくなったり、小銭がつまめなくなったりして日常生活がかなり困ったことになるそう。
ついに親指を開けなくなったころ、「やっぱり毎日が大変だから手術することにするわ」と言っても、もう通常の手術では母指機能の回復が期待できないことが多く、「腱を移行する」という再建術も同時に行う必要が出てくるのです。
となると、ご想像のとおり手術は大がかりになり、もちろん回復にも年単位の時間がかかることに。
手術のメリット、デメリットをあらかじめ知っておくことは、「手術」を判断するときにとても大事ですね。
手術を受けたのに「痛みが引かない」「違和感が残る」人がいるって本当?
これは残念ながら本当のようです。
ある病院のサイトには「手根管症候群」は「手が正座している」ような状態なので、今までしびれや痛みを我慢してきた年月が長ければ長いほど、手術をして原因を取り除いても「余韻が残るもの」と書いてあります。
とはいえ、そこであきらめてしまうと「何のために私は手術したんやろ」という後悔の気持ちが湧くものです。
「後悔の気持ち」は、何の病気においても回復を妨げる後ろ向きの感情。
「悪いところは手術でなくなった」のですから、次は硬くなった筋肉と自分の気持ちをほぐしていこうとする姿勢が肝心です。
具体的に、筋肉を柔らかくできる鍼治療は本当におすすめ。
手術によりたしかに手根管の神経圧迫は解除されたかもしれませんが、残念なことにすでに手根管を圧迫させてしまうほど硬くなった筋肉をほぐしてはくれません。
その結果何となくすっきりしない違和感が残る可能性はあります。
また、「手根管症候群」になった人は、手だけでなく腕・肩・首までもがカチカチに硬くなっていることがほとんど。
全身の筋肉を鍼治療でほぐしていくことは、同時に手や指の先までもほぐすことになるんですよ。
当院にも「手根管症候群」の方が数多く来られますが、初めて来られたときは暗い表情の方が多いです。
治療を受けても回復せず、あげくのはてに「手術をしましょう」と提案されると「この先どうなるの?」と不安になるのは当たり前。
当院では、患者さんにまず問診で「どの角度で痛むのか」「日常生活で何に困っているのか」など詳しくお聞きします。
その後、全身の筋肉の様子を確認し治療を行った院長は、患者さんともう一度向き合います。
何をするのか?
それは「毎日のセルフケア」を伝えること。
初回の鍼治療やリハビリマッサージを受けていただくことにより、自分でセルフケアを行うのにつらくない状況に仕上げます。
腰痛や肩痛でもいえるのですが、特に日常生活で細かく使う「手」や「指」の症状では「セルフケアを毎日行うかどうか」で回復度合いの差がハッキリ。
そこで院長は患者さんにとって一番有効なやり方を伝えます。
紙に書いたり、時には患者さんの携帯で写真や動画を撮ったり。
ひとりひとりに向き合って正しく伝えようと様々な方法を使います。
すると次の回、治療に来られた患者さんから「いやぁ、毎日教えてもらったことをするだけで、こんなに痛くなくなるなんて不思議~。」と聞くことも度々。
痛みの神経が刺激されないくらい筋肉が柔らかくなれば、「あれっ?そういえば最近痛みもしびれも減ったような・・・?」と思える日が必ずやってきます。
痛みやしびれから一刻も早く離れていくために、手術も含め自分に合った治療法を探していきましょう。
いつでもお気軽に統園鍼灸院にご相談くださいね。